レジメ(第二回)                                                                               平成14年5月27日  鈴木 邦江
テーマ再考について
 前回はただ漠然と「栃木県における日韓交流事業」について取り組みたいと述べた。ゼミ終了後に自分が何に関心があるのかを見つめ直し、現段階では行政と市民活動の役割について国際交流を通して考えたいと思っている。また、短大の卒論の際と同じ収集した資料だけで卒業研究を行うと言う手法ではなく、自分が体感したものを論文にしたいと思う。

今回の関心
 前回取り上げた朝鮮通信使からの寄贈品に韓国語の説明を作ると言う事業を考える上で、まず日光を来訪する韓国人の数はどのくらいであるのかを知りたいと思った。しかし、資料を見つけることが出来ず平成11年に栃木県を訪れた外国人は約14万1千人で、全国平均では15位と言うことしか分からなかった。果たしてその14万人が来県した目的は何であったのか、と言う点に興味がある。
(参考)平成12年の市町村別観光客入込数 市町村別上位5位
1. 日光市 2.那須町 3.藤原町 4.西那須野町 5.佐野市 

栃木県の外国人登録者数について
 平成13年 94カ国 29,778人。(全国17位)県人口に占める割合は1.48%。
国籍別登録者数上位5位
1. ブラジル 2.中国 3.ペルー 4.韓国または朝鮮(3,139人で全体の10.5%) 5.フィリピン

韓国と関係の深い栃木県の国際交流団体(栃木県国際交流協会登録団体)
宇都宮市・在住アジア友好会、宇都宮バハイ共同体、宇都宮ユネスコ協会、大田原国際交流会、小山国際交流会おいふぁ、グローバル・グループ、言語文化交流研究所ヒッポファミリークラブ、国際ソロプチミスト宇都宮、栃木県日韓親善協会、栃木県日・韓女性親善協会、YFU日本国際交流財団栃木支部の12団体。栃木県の国際交流団体が総数128団体なので少ないように感じられる

気づいた点
・友好姉妹都市を韓国と結んでいる市町村は栃木県にはなかった。
・栃木県が発行した外国人向けの手引書には英語・中国語・ポルトガル語・スペイン語訳が列記されている。登録者数上位5位の中でカバーされていないのは朝鮮語のみ。

参考:
新世紀とちぎ観光振興計画
栃木県国際交流課 
栃木県国際交流協会 
 

セミナー参加報告
 5月25日(土)、宇都宮大学峰キャンパスにおいて「日本・韓国生活文化比較国際セミナー」が開催された。
主催:社会福祉法人あいのかわ福祉会 社会福祉法人同愛会 
共済:宇都宮大学 韓国国立尚州大学校
後援:宇都宮市国際交流会 大田原国際交流会

第一部 特別講演会「日本・韓国社会福祉、教育機関を通した国際交流の活性化のあり方」 ※敬省略

第二部 テーマ別シンポジウム
第一シンポジウム:地域を基盤にする児童健全育成の日韓比較」(比較研究対象:小学生)
第二シンポジウム:地域を基盤にする知的障害児者の教育および生活支援サービスの日韓比較」

 交流の柱に教育・福祉を掲げたセミナーであり予備知識のない分野であったが、基礎的に市民活動の事業内容と問題意識を学ぶことが出来たことや生の韓国語を沢山聞くことが出来たので有意義なものとなった。その中でも社会福祉法人同愛会理事長・あいのかわ福祉会常務理事である菊地さんと同愛会在宅支援専門委員である木島さんのお話は支援現場の声を聞くことが出来て面白いと感じた。支援専門員にまかせきりで自己責任を受け止められない老人、国が何とかしてくれると考えるのではなく個人が自発的になるにはどうすればよいのかと言った問題提起をされていたが、それまで私はそれらは行政の担当分野だと思っていた。行政とNPOや市民活動の役割・連携について関心を持つ良いきっかけになった。
 また、福祉分野の国際交流とは具体的にどのようなものなのかイメージが湧かなかったが、言葉の通じない外国人が知的障害者と”表情”で交流し『会話が成り立たなくとも向き合うことの重要性』がある、と言う菊地さんが語っていたのが印象に残った。言語を重視せずに心のコミュニケーションに重点をおくと言う点では文化の相互理解とはまた違う面白みがあり、福祉を国際交流の題材として注目する価値があるのではないかと思う。正直に言うと余り教育や福祉分野に興味がなかったが、今回のセミナーへ参加したことで自分の視野が広がり新たな関心が生まれる好結果となった。
 
私が考える今回のセミナーの趣旨
「共通問題に取り組んでいる機関と国際交流を行う ⇒ 相互の価値観の違いが共通面・相違面を捉えて協働・研究に有効性をもたらす」
キーワード
「意識改革」「受動⇔能動」「共存」「地域連携」